建築ビジュアライゼーションの制作工程を解説する
建築パースの依頼を検討しているクライアントから「実際にどんな作業をしているのか分からない」という声をよく聞きます。制作の中身が見えないと、修正の依頼タイミングや、なぜ特定の工程に時間がかかるのかが分かりにくくなります。この記事では、North Glacier Studioでの実際の制作工程を順番に説明します。
ステップ1:図面・データの受け取りと確認
依頼を受けた後、最初にするのは提供データの確認です。DWGやRVTなどのCADデータがある場合は、スケールの整合性・レイヤー構成・欠損部分の有無を確認します。設計図のみの場合は、平面図・立面図・断面図の3種類が揃っているかを確認し、不足があれば受注前にお知らせします。
データの品質によって、この確認作業に30分から半日かかることがあります。古いDWGファイルは文字コードの問題で文字化けが起きることがあり、その場合は変換処理が必要です。この段階で問題を洗い出しておくことで、後工程での手戻りを防ぎます。
ステップ2:3Dモデルの構築
確認が完了したら、Blenderまたは3ds Maxでモデルを構築します。建築外観の場合、外壁・屋根・開口部(窓・ドア)・付属構造物(バルコニー・庇など)を個別のオブジェクトとして作成します。一体のメッシュにまとめると後の修正が困難になるため、パーツを分けて管理します。
寸法の精度は0.1mm以下を基準にしています。ただし、レンダリング用のモデルと製造入稿用のモデルでは要求精度が異なります。レンダリング用は視覚的な正確さが優先されるため、細部の処理方法が変わります。
ステップ3:マテリアルと照明の設定
モデルが完成したら、各面に素材(マテリアル)を割り当てます。コンクリート・ガラス・金属・木材など、それぞれの物理的な反射特性をPBR(物理ベースレンダリング)で再現します。クライアントから素材サンプルや仕上げ表が提供されている場合は、それを参照して設定します。
照明は、HDRIを使った環境光と、太陽光を模したディレクショナルライトを組み合わせます。日照シミュレーションが必要な場合は、建物の緯度・経度と希望する日時を設定し、実際の太陽角度を再現します。
- 外壁:コンクリート・タイル・金属パネルなど
- 開口部:ガラスの透過率・反射率の設定
- 地面・植栽:周辺環境の合成または3Dモデルで再現
- 照明:昼光・夕景・夜景の3パターンまで対応
ステップ4:レンダリングと納品
設定が完了したら、レンダリングを実行します。静止画の場合、1カットあたりのレンダリング時間は解像度と品質設定によって30分から数時間かかります。レンダリング後、Photoshopで色調補正・空の合成・人物や車などのエンタラージュ追加を行い、最終的な納品データを作成します。
納品形式はTIFF(300dpi)またはPNGが標準です。印刷用途の場合はCMYKへの変換も対応します。初稿提出後、修正ラウンドは標準で3回まで含まれています。
制作工程の詳細や、自分のプロジェクトに当てはめた場合の工数感を知りたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。