Unreal Engine 5で建築VRコンテンツを制作する際の実務ポイント
Unreal Engine 5(UE5)の登場で、建築VRコンテンツの制作コストと品質のバランスが大きく変わりました。以前はリアルタイムVRのクオリティを出すために膨大な最適化作業が必要でしたが、NaniteとLumenの組み合わせにより、ハイポリモデルをそのまま使える場面が増えています。ただし、VRヘッドセット向けには依然として注意が必要な点があります。
BIMデータからUE5へのインポート
RevitやArchiCADのBIMデータをUE5に取り込む場合、Datasmithプラグインを使うのが最も効率的です。マテリアルのマッピング情報やオブジェクト階層がある程度保持されるため、ゼロからモデルを組み直す手間が省けます。ただし、BIMデータはポリゴン数が多く、そのままではVRのフレームレートが落ちるため、Naniteを有効にしたうえでポリゴン数の多いオブジェクトを選別します。
Naniteが有効なメッシュは、UE5が自動的にLOD(詳細度)を管理するため、遠距離のオブジェクトのポリゴン数を手動で削減する作業が不要になります。ただし、Naniteは半透明マテリアル(ガラスなど)には対応していないため、窓ガラスは別途処理が必要です。
Meta Quest 3向けの最適化
Meta Quest 3はスタンドアロンVRヘッドセットのため、PCに接続せずに動作します。処理能力はPC VRより低いため、UE5のLumenをそのまま使うとフレームレートが目標の72fps以下に落ちることがあります。
Quest 3向けには、Lumenの代わりにベイクドライティング(事前計算された照明)を使うか、Lumenの品質設定を下げる必要があります。North Glacier Studioでは、展示会用のスタンドアロンVRにはベイクドライティングを使い、PC接続のVRにはLumenを使うという方針で制作しています。
- Nanite:ハイポリメッシュの自動LOD管理
- Lumen:PC VR向けのリアルタイムGI
- ベイクドライティング:Quest 3スタンドアロン向け
- ガラス・半透明素材:Nanite非対応のため別処理
インタラクション実装の実務
素材切り替えや照明変更などのインタラクションは、UE5のBlueprint(ビジュアルスクリプティング)で実装します。コーディング不要で基本的なインタラクションを組めるため、制作時間を短縮できます。ただし、複雑な条件分岐が必要な場合はC++での実装が必要になることがあります。
UIの設計はVR特有の制約があります。通常のスクリーンUIと異なり、VR空間内に3Dオブジェクトとして配置する必要があります。視線入力やコントローラーのレイキャストでの操作を想定したボタンサイズと配置を設計します。
UE5を使ったVRコンテンツの制作は、プロジェクトの要件(スタンドアロンかPC接続か、インタラクションの複雑さ)によって工数が大きく変わります。まずはご要件をお聞かせください。