製造入稿用STLデータを3Dモデリングで作る際の注意点
プロダクトモデリングの依頼で多いのが、「レンダリング画像と製造用データの両方が欲しい」というケースです。この2つは同じ3Dモデルから派生しますが、要求される精度と構造が異なります。同じファイルを両方に使い回そうとすると、製造側で問題が起きることがあります。
レンダリング用と製造用の違い
レンダリング用モデルは、見た目の正確さが最優先です。ポリゴン数を多くして曲面を滑らかに見せたり、内部構造を省略したりすることが一般的です。一方、製造入稿用のSTLデータは、実際に物理的に成立する形状である必要があります。壁厚がゼロのサーフェスや、内部に閉じていないメッシュ(非マニフォールドジオメトリ)は、製造機械が正しく解釈できません。
North Glacier Studioでは、両方が必要なプロジェクトでは最初からモデルを2系統で管理します。共通の基本形状から分岐させ、それぞれの用途に合わせた後処理を行います。
製造用STLで確認すべき項目
壁厚は、使用する製造プロセス(射出成形・3Dプリント・板金など)によって最小値が異なります。射出成形の場合、一般的に最小壁厚は1.5〜2.0mmとされていますが、材料と金型設計によって変わります。モデリング段階でこの数値を守っているかを確認します。
抜き勾配は射出成形で特に重要です。金型から製品を抜き出す方向に対して、側面に1〜3度の傾斜を設ける必要があります。設計図に抜き勾配の指示がない場合は、クライアントに確認してから進めます。
- 壁厚:製造プロセスに応じた最小値の確認
- 非マニフォールドジオメトリの修正
- 抜き勾配:射出成形の場合は1〜3度
- STL解像度:曲面の分割数と精度のバランス
納品前のチェックプロセス
STLデータを納品する前に、MeshLabまたはNetfabbを使ってメッシュの整合性を確認します。非マニフォールドエッジ・反転法線・穴(ホール)がないかを自動検出し、問題があれば修正します。
クライアントが3Dプリントで試作を行う場合は、スライサーソフト(Bambu StudioまたはUltimaker Cura)でのプレビューを確認してから納品することを推奨しています。スライサーで問題が検出された場合は、納品前に修正対応します。
製造用データとレンダリング用データを同時に必要とするプロジェクトは、最初のヒアリングでその旨をお伝えください。見積もりに両方の工数を含めて提示します。